「スタートレックと僕 そのいち」
スタートレック『宇宙大作戦』がアメリカで放送されて、今年で40年だそうです。
(ちなみに円谷プロのウルトラシリーズも40周年。おめでとうございます)
日本でも1969年に放送開始されているので、田舎に住んでいた僕も、おそらく9歳か10歳ぐらいの時に観ているのでしょう。
もしかしたら、もっと後かも。当時は地方の放送事情は決して良くはなかったのです。
もう何曜日の何時から放送されていたのか、まったく覚えていませんが、
あの、エンタープライズ号の独特のフォルムや、スポックのとがった耳、転送装置、携帯型通信機(これだけは現実になってしまった!)、宇宙船内部の環境音等々、子供心に大きなインパクトを受けました。
そうそう、絶対に忘れられないのは、オープニングのかっこよさ。宇宙空間をバックに、若山弦蔵さんの声で「宇宙、それは・・・」と始まると、それだけでワクワクドキドキしたものでした。僕は文字通りテレビにかじりついて、そのナレーションを一緒にしゃべっていた覚えがあります。
その後再放送でお目にかかったりしながらも、忘れかけていた頃、ついに劇場版が公開されたのです。79年公開と公式に書いてあるので、日本での公開はおそらく80年くらいでしょう。私は大学生でした。東京は江古田を生活の中心にしていました。大学でお芝居の勉強をしていたとはいえ、本当に俳優になれるのか分からず、でも夢も希望も思いっきりあった頃です。(あ、今だって、いろいろ夢も希望もあるので誤解の無いよう)
あの『宇宙大作戦』が映画になる!
それだけで私の期待は・&*%$#;@」P&%!!!
やがて劇場の大スクリーンに映し出された、エンタープライズのかっこいいこと。
スタートレック=エンタープライズみたいな部分もあるわけだから、その辺のファン心理をたぶん読んでのことだろうけど、ねちっこく、船体をなめるように写しだしていくあのシーンは、結構きらいじゃない。
カーク船長、スポック、カトーらおなじみの面々も少し老けたけど、全員揃った!カークの声は矢島さんじゃないけど、当時は劇場映画の吹き替えなんてほとんどなかったんだから、そこはスルー。(僕の知っているカーク船長は、矢島さんの声で日本語をしゃべる人だったのです。)
すきんへっどの宇宙人だって、きれいなオネイサンなので、まるでOK。
テーマ曲は、これ以上ないくらい素晴らしい。
特撮(このころはまだCGなんてないのさ)も、当時としてはかなりの水準。
制服がださいのは、まあこの際目をつぶろう。
でも、でもね肝心のお話しは・・・・・・・・・・・。
それでも僕が何回も観たからか、続編が作られて、2作目以降はしばらく面白い作品が続いたので楽しかったのです。
やっぱり一作目の制服はないだろうという僕の意見に賛同してもらえたらしく、
制服はとてもかっこいいものになりました。TVシリーズから考えると、ずいぶんごてっとしたものになりましたが、あれはあれでよし。劇場版なんだから。うんうん。
そうして、劇場版が2・3年に一本公開されているあいだに、いつしか世の中にはレンタルビデオ屋なるものが出現していました。
で、ある日そのレンタルビデオやさんで、『スタートレック88』というタイトルが目についたのです。88って位だから、88年か89年のことでしょう。僕はすでに、劇団に入ってお芝居をやっていました。舞台一筋で、声の仕事なんかまるで縁の無かった頃です。
最近は利用する機会の減ったレンタルビデオですが(今はレンタルDVDか)、当時は毎日のように映画を借りて帰っては観てました。劇場へもよく足を運んだな。近頃は話題作もDVD買って観たり、ひどい場合は購入したまま封も開けてなかったりするのでいけないですねぇ。本の場合は積ん読といいますが、こういう場合はなんと言えばいいですかね?
ま、そんな話はいいとして、『スタートレック88』です。
え?も、もしやTVシリーズの新作?
早速借りて観てみると、本当に新しいスタートレックらしい。けど、エンタープライズ号は初代に比べてずんぐりむっくりしちゃったし、船長はカークと違って、くそ真面目そうなハゲのおじさんだし、なんだか全然違うよー!こりゃだめだ。ビデオも数話分しかないし、きっとアメリカでも続かなかったんだ。
決して面白くなかったわけではありませんが、小さい頃に観たあの『宇宙大作戦』に思い入れの強かった僕は、勝手にそう思いこんでしまったのでした。
その時に観た作品が、『新スタートレック』として吹き替え版が作られ、第7シーズンまで続き、そしてまさか、その吹き替え収録の現場に自分が立つことになるなんて、夢にも思わなかった頃のことでした。
こうやって20年近く、一人のファンとしてスタートレックとつきあってきました。
次回は、僕がスタートレックと、お仕事として出会うお話しです。
つづく
T.O.STATION All rights reserved.